2009-05-04

車内ストレッチおじさん

普通のことを面白く伝えるのは簡単ですが、
面白いことを面白いまま伝えるのはとても難しい。

この間、地下鉄に乗っていたら、
ヤレたスーツを着たおじさんが
座っていた座席から立って、出口ドアのそばに立ちました。

持っていたボストンバッグを脇に置いたおじさん、
体を前に曲げ、前屈ストレッチを始めました。
電車の揺れにも屈せず、腕を地面に付けるべく、
5〜6回、エイエイエイとばかりに伸ばしていました。


なるほど、おじさんカラダが固まっていたんだなあと
思っていたら、次は手すりにつかまって、
アキレス腱のばしを始めました。

左右の足首をのばしたあとは、
足首をまわして、手首をまわして、
当たり前のように、膝を曲げる屈伸運動。

すごいなおじさん、ドアが開いたら
猛ダッシュするのか、なんて考えていた矢先に、
ついにというか、やはりというか、
目の前にぶら下がっていた手すりに両手でつかまり、
ビローンと背中のばしを始めました。


そろそろあっけにとられていると、
『次は、外苑前ー がいえんまえー』とのアナウンス。
一通り、入念なストレッチを終えたおじさんは、
おもむろにボストンバッグを持ち上げ、
ちょうど空いていた座席にボストンバッグをどすんと置き、

自分もまた、バッグの隣にどすんと座ったのです。
ぐへー、ストレッチで疲れたー、て感じで。


「わざわざ席立って、そんだけやっといてまた座るのかい!」って
心の中で思わず突っ込んだのですが、
周りの皆さんもそうだったに違いないです。

目の前で見てるときは、めちゃくちゃ面白かったのに、
文にしてみると、さして面白くもない。
面白いことを、面白いまま伝えるのは、本当に難しい。

ボクは外苑前で降りなくてはならなかったので、
おじさんのその後を見届けられなかったのが心残りです。