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自転車ゲリラ


ゲリラ活動を繰り返す友人がいる。
そいつはサボテンを代表とする多肉植物を愛する男。
陽のあたりがよさそうな、例えば電柱の下の土の上に
ぽとりとそのサボテンのかけらを落とすのである。
落とすだけである。

サボテンは、その環境が過酷なほど生命力を増す植物。
水を与えなければ与えないほど、
自らの根っこを延ばして潜り込み、根付いていく。

彼のおかげで、彼の住まい周辺の街のそこここには
見たこともない多肉サボテンがうようよと生えている。
幸運なことに、街行く人々はワンセグとかアフォリエイトとか
そういうのに忙しいためか、気がつかれることもなく、
いつ見てもすくすく成長している。
ボクは彼をグリーンゲリラと呼ぶ。



一方のボクは、自転車ゲリラ活動を繰り返す。
小さなオイルと空気入れを持ち歩き、
空気の抜けてそうな自転車を見つけると、
周囲をきょろきょろと見回し、適正空気圧にまで
勝手に空気を入れちゃうのである。ついでに
チェーンにオイルまで差して、
きれいに汚れを拭き取っちゃうのである。

さて、どれだけの人が気づくかな。
自分の自転車が、
どれだけ走りやすくなってるかってのに
気づくかな。
それとも気づかないかな。
空気を入れて、チェーンオイルを差すだけで、
こんなに気持ちよくなるんだってことに
気づかないかな。
書いてないからかな。

もっと、みんなが自転車って
速くて、遠くまで行けるもんなんだって
気がついてくれるといいんだけど。

そのうちやっぱりつかまるのかなあ。
つかまんなくても済むように、みんな
自分の自転車に空気入れて
オイル差してくれないかなあ。
そうすれば、自転車はもっと楽になるのに。

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