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トレールメンテナンス 実践編



本日は、トレール『Shit Happens』のメンテナンスである。ハイウェイに出るトレール出口から、メンテ用の道具、シャベル(日本での通称『アメ・スコ』)やバール、バケツなどを担いで登って行く。

 こっちのトレールの直し方は、すごかった。その手順を簡単に。

 やること1。まず、トレールを掘り返す。ここまでは普通のメンテと変わらない。

 やること2。でかい岩を見つける。でかければでかいほどいい。「手で簡単に持てるぐらいの岩は、ただの石であり必要ない」と言われた。そこらにある巨大な岩をバールでほじくり、それを2人で抱えてトレールそばに持っていく。大丈夫かリハビリ中のオレの腰。



 やること3。その岩を、掘ったトレールの、下の方にどかんと置く。で、そのでかい岩をアンカーポイント、つまり動くことのない支点として、トレールの上に向かって、岩を並べていくのだ。
 その並べ方にもコツがある。基本的に、平ための岩を、地面に立てるような形で並べていくのである。

 こういうことだ。ただ岩を地面に並べただけでは、時間が経つと簡単に動いてしまう。そこで、平たい岩を地面に差し込むように並べてるのを基本として並べていくことで、重力やライダーが起こす力学的ベクトルは、すべて下にある巨大なアンカー岩が受け止めてくれ、動くことはなくなる。
 岩をいくら並べても、ぜんぜん埋まっていかない。筋力とパズル的なデザイン力を使う作業だが、この岩1つが、気持ちエーなライディングにつながると思うと、そんな苦労も苦にならない。裏を返せば、少しでも動いてしまうと、大怪我につながる原因にもなるから、岩のパズル、デザインには相当に気を払う。
 ちなみにこちらの岩は、エッジがものすごく鋭いので、ライディンググローブ程度ではすぐに切り裂かれてぼろぼろになる。そして指も切りやすいので、もしウィスラーのトレールメンテにボランティアしたいと思われる日本の方がいるのであれば、分厚い軍手を2重にして臨むことをオススメする。



 路面を馴らすべきセクション全面に岩を差し込んだら、今度は空いた隙間に小さな岩を詰め、さらに上から土を流し込んで一応の完成。あれだけ岩が並んで圧巻だったのに、できあがってしまえば、そこには何もなかったかのようにスムースな路面がある。なんだか残念でもある。



 欲を言えば、ひと雨降って地固まるな行程が欲しいところだが、そこは夏のウィスラー。雨なんかほとんど降らないので、このまんま、明日からこのトレールは、ボクが岩をデザインしたセクションは、トレールマップに載るトレールとして、ライダーに踏まれ、年数を重ねていくこととなる。

 全て終わったあとには、サンドイッチとビール。懸念の腰も問題ないようである。一日経った次の日の今日は、ボクが作ったそのセクションを、実際に走ってみることにします。うまくできてるといいなあ。

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