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箱根の山の登り方



 日本の正月といえば箱根駅伝のようで、走りですら1日で駆け抜けてしまう東京ー箱根間を、我々(パンダソニックと山田さん)は昨年4月に、自転車で2日間かけて走ってきた。《東海道中輪栗毛》の第1部、『感動の関東脱出篇』(これまた鋭意執筆中)の走行ルートだ。

 あるべき自転車乗りの姿とはかけ離れた21世紀型自転車旅人ことバイシクル・トリッパーであるパンダソニックと山田さん。わかり難い旧東海道をなんとかたどりながら、店に入っちゃXXをXX、道に迷っちゃXXをXX(こんなご時世なので自主規制)しながらのフラフラ良い酔い道中。

 人間の足だけでも箱根まで1日で走るこのスピード時代にあって、自転車で2日かかるなんて、自転車乗りの風上にも置けません、て言われてしまいそうだが、こっちはそういう乗り方しかできないトリッパー。自転車は楽しいが目的なので、自転車は速いが好きな人には、大変申し訳ないがしかたない。



 東海道中、最大の難所を言われた箱根の山を、自転車で上る際には、コツがある。箱根の麓にある、一見なんてことない自転車屋のおじさんに聞いてみるといい。彼は、ホントに一見、ただのマチのママチャリ屋のおじさんなのだが、本人曰く、昔は全日本実業団のコーチだか監督だかをしていた方らしい。

 そのおじさんが言うには、箱根を自転車で越えるために、守るべきことが3つあるという。

 1)水は飲むな。

 水を飲むと、体重が重くなり、汗が出やすくなり、疲れも増す。なので、水を飲まないかわりに、バナナなどの果物を食べる方がいい。果糖がエネルギー源となって、果物の水分が、いい感じで水分補給の替わりになる。

 2)ペダルはカカトで踏む。

 いや、カカトをペダルに乗せろ、ということではない。カカトから踏み込むように、直線的にペダルを踏み込めということだ。ペダリングに関しては、昨今はいろんなペダリング博士が増えてきて口うるさいので、あまり細かく書かないが、本質部分だけを言えば、カカトから踏むということは、足首をきちんと使ってペダリングするということである。

 つまり、骨盤から股関節、ヒザ、そして足首という4つの間接をムチのように使い、腰から足先に向かって流れる力を増幅させながら、一点に集中して出力するのだ。

 足首まできっちり使って出力しきると、ペダルが上に戻ってくる際に、足首は自然に伸びる。その上へ戻る動きの余韻に、ちょっとばかし引く力を加えれば、反対側の足が押し込む手助け、すなわち『引き足』となる。

 数年前、人に聞いた話だが、ロードバイクのレースで活躍中の飯島誠さんも「ペダルはまっすぐ踏みこむんですよ」と言っていたそうだ。ボクがBMXのジャンプでなんとなくわかったペダリングの本質と、同じイメージであったようである。自転車の乗り方なんて、突き詰めればみんな同じだ。

 3)忘れた。

 どっかにあるはずのメモに書き残したはずなので、本稿を書くときには思い出しているはずだ。はずはずはずと恥ず莫迦り。

 パンダソニックは、この箱根の山を登る際に、2001年に購入したiBookさん(3kg)と様々な機材+余計なものをずっしりと積んだ自転車に乗っていた。おそらくそのためスポークが折れて後輪はズタズタに振れ、上っている最中ずっと、シャー、シャーと雄叫びをあげる悪魔に後輪を引っ張られ続けていた。


 山田さんは、箱根を上る直前のそば屋でXXを一本すっかりXXてから上り始めたので、坂の途中で、心臓が大変なこととなり、あわや救急車か、という憂き目にあった。


 ということで、今は忘れている3)は、『荷物に旧旧旧型iBookは持たないこと』、あるいは『上る前にはXXをXXないこと』なのかもしれないが、そうじゃないような気もする。誰か、その自転車屋さんのおじさんに、確かめてくれませんか?

こんな店だ。

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