土曜日の朝。6時半に加納慎一郎くんが迎えに来てくれた。
加納くんは、フルサスでボヨボヨとしたマシンを使うのが
当たり前のマウンテンバイクのダウンヒルレースで、
リアサスのない<ハードテイル>フレームを使って、
わりと中盤ぐらいの成績を出していた。
今は、レースもやめ、自転車のフレームビルダーになるべく
修行していたのだが、その腕を買われて、京都にベースを置く
自転車系の会社、ダイアテック・プロダクツに入社している。
http://diatechproducts.com
そのダイアテック・プロダクツの社内ミーティングが
社外というか、近くのおやまで行われるというので、
加納くんにお願いして、参加させてもらった。
そもそもダイアテックは、自転車業界の会社には大変珍しく、
男性社員の全てが、マウンテンバイクのライダーである。
それも、スタミナ自慢系ではなく、きちんと乗れる連中ばかり。
スタミナ自慢ではないはずなのだが、
サクライさん(左)とテラモト(右)と二人は、
登りのペースがかなりに速かった。
そのうえ、サクライさんは、登りがキツくなるほど、やたらと
話しかけてくる。こちらも息を切らしていないふりして応える。
オレだって山を20年乗っている。そんな駆け引きはわかっている。
のちにサンタくんから聞いたのだが、
京都の人たちは、なんだかやたらと登りが速いそうなのだ。
負けず嫌いなのかもしれない。東京スタイルのゆるさ
(というより高田馬場モンキー・スタイルか)で臨むと
かなり、吹っ飛ばされる。
サクライさんは、この京都周辺のトレールのことを、
ホントによく知っている。山に囲まれた盆地地帯である
京都は、中心部からちょっと足を伸ばせば山があるのだが、
相当に走り込んでいないと、あれほどのトレールに関する
知識と地元マナーを語れないと思う。
途中、サクライさんチームと加納くんチームの二つに分かれた。
サクライさんは、まだ山に慣れてない社員連中をつれて、
別のルートから下る。こちらは加納くんを先頭に、
マツノくん、オレ、テラモトという4人。まあいわゆる
腕と走りに自信のある連中チームだ。
特にテラモトはもう20年近くの付き合いになるのだが、
山を一緒に走るのは初めてだ。テラモト(IBMじゃないほう)は、
オレの後ろに付き、絶対に前に出ない。付かず、離れず。
そういえば、昔、クロマグの大将、イーアンと初めて
ウィスラーの山ん中を、走ったときもこうだった。
こんなふうに、後ろに付かれて、
見定めるような視線を感じていたんだった。
ビジターは、ローカルの前を走るのだ。
路面を慈しみ、トレールの流れと一つになり、
走りの中で、自分のスタイルを、後ろのローカルに見せる。
それがビジター・ライダーとしての、礼儀である。
さて京都のお山さん。
いきなり急だ。しかもあれだ、根っこがボッコボコ。
かなりハードコアである。関東周辺の、わりと
走りやすい斜度山とは、
また違った感じのトレールっぷり。