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6月, 2008の投稿を表示しています

オリエンテーリングの見学

 フィンランドでは、オリエンテーリングというスポーツが盛んです。自然の中に、いくつかのチェックポイントが設定され、それを地図とコンパスを頼りにたどって帰って来るという、まあ言ってみれば単純なスポーツです。詳しくは、どっかで調べていただきたいもんですが、昔、ちょっと日本でも流行っていたような記憶があります。そういえば自転車でも『とれとれバイク』(オフィシャルのページはどこになるの? 石丸さん?)という名で、マウンテンバイクを使った同じ趣旨のイベントが開催されていますね。  オリエンテーリングは、フィンランドだけでなく北欧全体で盛んです。週末ごと、どころか週に何度も、地方のクラブチームが開催するオリエンテーリングのイベントがあるようです。実はこっちにくる直前のヘルシンキで、オリエンテーリングの日本ナショナルチームの一員である、小泉ナニガシさんという方にお会いしました。彼は、1ヶ月ほどフィンランドでトレーニングをして、7月12日にチェコで行われる世界選手権の準備をしていたとのこと。仕事とかどうしてるの? と聞いたら、勤めている会社に理解があって、実業団的な扱いにしてもらっている(つまり会社員のまま、レースに出場できる)とのこと。10年ほど前、檀拓磨くんや小林加奈子さん(やオレが)、お金をなんとか捻出しながら世界レースを転戦していたあの時代を思い返し、時代も変わったもんだなと、しみじみ感じ入ったものでした。  さて今日は日曜日。近くで地元オリエンテーリング・クラブによるイベントがありました。かなりアスレティックな人である友人は参加するのだ、というので、応援がてら見学にしてみることにしました。  クルマで着いた開催地は、もうどっかの自然のどっかの中。元は農地だったのか、掘建て小屋ぐらいはあるんですが、他にはとくに何があるわけでもない、フィンランドの大自然のど真ん中。ここに、次々とクルマがやってきては、老若男女が受付でサインアップし、森の中に消えていきます。ホントに盛んなんだなあと思い、どれぐらい参加者いるの? と聞くと、2週間前の大きな大会には、7人のチームで、1400チームほどの参加があったんだとか。応援の人とかも含めると、どれぐらいの規模なんだかあんまり想像つきません。  森(とかいろんなもの)の中には、あらかじめ設置されたチェックポイントがあり、そのチェックポイントに電

見学だけのつもりが

 フィンランドでは、老若男女もなすオリエンテーリング。子どももおばあちゃんも、楽しそうに森の中に消えていきます。  おばあちゃんもやってるのかー。おばあちゃんがー。おお。おおおおお。おおおおおおおおれもやる!  なにせバカなので、いま目の前にある楽しそうなものを、ただ見てるだけというのができません。そのときは短パン&Tシャツだったのですが、たまたまクルマに雨具がある。そいつを着て財布から4ユーロを取り出し「おれもやりたいけど」と、受付の人に申し出ました。  と、そのとき汗をダクダクにかいた友人が戻ってきました。「一番短いコースだと、どれぐらいかかるだろう?」「40分ぐらいじゃないか?」「おれさ、やるから。やるから。1時間ぐらい待っててよ」  と言い残し、受付でタグをもらい、スタートでピッとやって、一人森の中へとごーごごー!  で、森の中。目印みたいなものは、なんにもありません。方角の書いていない地図を、地形をだけを頼りに「たぶんこっちが北だろう」と信じ、チェックポイントのあるであろう場所へと向かいます。そうそう、地図上で引いた、チェックポイントを結ぶ直線なんて、なんの役にも立ちません。そこには倒木があり、湿地があり、自分の向いている方向は刻一刻と変化するので、もうコンパスと自分の心以外に、頼れるものはないのです。  森の中、深く踏み入っていきます。前の人が走った後なんてないし、たった一人だし、なんか違った方角に向かってるし、初心者コースのはずだし、そのへんでガサガサいってるし、あっちの空がなんか暗いなと思ったら、ゴロゴロとか雷聞こえるし、携帯電話とかないし、お化けとかいないし、もうギブアップとかいっても誰もいないし、チェックポイントこの辺のはずなんだけどないし、もうどうしよう。  と泣きそうになったそのとき、第一チェックポイント発見。ほっとして、やっぱり泣きそうになる。  んがしかし、男の子なので、次のチェックポイントに向かいます。チェックポイントは、自分の正確な場所が分かる大切な目印。ここを元に、地図のどっちが北なのかを、地形を読みながら心に刻む。あっちだ! と向かう先にあるのは、さらに深い森。んがー。  そのさらに深い森に入ります。小さな川を飛び越えて、手つかずの自然の残る、原始の世界へと。  もうー。こっから先はあれです。泣きそうーポイントあって泣きそうーまた

やったよサカタさん

 サカタさん、ついにやりました。やりましたよ。やっと、アナタとボクの夢を実現することができました。  思い返せば2年前。2人で作ったサウナのページでの取材は衝撃的でした。日本サウナ協会の方が放った一言「本場フィンランドではサウナに入ったあと、湖に飛びこむんですよ」。これを聞いた瞬間に、「と、飛びこみたい……」と、2人の心は1つになり、本物のサウナを求めて徘徊する、2人のサウナバカが生まれましたね。ボクの誕生日に、サカタさんが自腹でプレゼントしてくれた、後楽園サウナのフルコースの味は、今もしっかりと覚えています。  友人に連れられてやってきた、彼のサマーハウスは、湖のそばに建っていました。こ、これは! と立ちすくむボクを尻目に友人は「じゃ、サウナでも暖めるか」と、サウナストーブにマキをくべ、火を焚きました。  ソワソワ待つこと1時間。十分に暖まったサウナに裸で入り、アチアチになったサウナストーン(こちらではストーブストーン、と言う意味のフィンランド語で呼ぶそうです)にジュウ、と水をかけます。そうです。あのブワッとくる蒸気、取材で習った『ロウリュウ』です。この蒸気『ロウリュウ』に身を包まれると、ドバッと一気に汗が出てきます。  汗を存分にかいたところで、ついに、ついにサカタさん、その瞬間がやってきました。ハダカのまんまでドアを開け、蚊にさされるのもモノともせずに、湖のうえにかかる桟橋をゆっくりと、しかし確実に前に足を踏み出し、そして助走を開始しました。このときのボクの心はサカタさん、アナタのことでいっぱいでした。  さっき触った湖の水は冷たかったです。心臓マヒ? という不安もよぎりましたがサカタさん、今のボクは1人ではありません。遠く離れていても心は1つ。2人のバカが1つのカラダとなって、素っ裸で、桟橋を駆け抜けているのです。 とう!  フィンランドの湖はきれいです。深夜12時にもなると夕日が湖面に写り、森の影とのコントラストが、幻想的な姿を見せてくれます。サカタさんありがとう。『ターザン』でアナタとサウナのページをつくらなかったら、フィンランドをこんなに楽しめることもなかったでしょう。サカタさんありがとう。2人で飛び込んだ湖は、冷たくも温かく、2人のカラダを冷ましてくれました。  でも、本場の人々は甘チャンです。サウナの温度は65度ぐらいでオッケーとか言ってます。こっ

フィンランド_ローカル生活スタート

 実は、リストウォッチ・コンピュータ&精密コンパスでおなじみ、 Suunto (スント)の本社を訪ねてた。フィンランドがなぜSuuntoとかNokiaとかの精密機器でおなじみかというと、木の国だからだ。この国には木がたくさん生えている。図書館でさまざま調べてもらえればすぐわかるが、木がメインの産業だったので、製紙工業が盛んだった(いまでも?)。紙を造る技術と心意気を精密機器に当てはめてみたら、かなりいい感じに精密機器を造れたので、フィンランドはそういうハイエンドの機械的なやつをいい感じで造れる国になったそうだ。ポルシェとか他のヨーロッパなクルマのハイエンドモデルは、だいたいフィンランドで造られてるそう。そういえば日本も製紙から造船へと工業が移ってったんじゃなかったっけな。  いろいろあって知り合った友達が、 フィンランドのアウトドア雑誌 の編集長で、「フィンランドに来ることがあったら、オレんち泊めてやるから来いよ」と言われていた。その言葉をたよりに、ヘルシンキから北に150km、 Lahti (ラハティ)近くの内緒の街にきた。今日から数日間彼の家にお世話になる。  日本以外の雑誌編集関係者は、その雑誌が取り上げるテーマが好きで好きなので関わってる連中が多いから、付いた早々、やっぱりマウンテンバイクに乗ることになった。家のすぐ裏からトレイルが出ているので、家を出てトレール乗って帰ってきてサウナ入ってプールで裸で泳いで(びっくりした)ビール飲んで、かなりいい感じでこれを書いている。友人はいまテレビでサッカーのヨーロッパ選手権を見ているが、例によってとくに興味もない(悲しいな)。  では、フィンランド・レポート。  ・ここは アアルト と マリメッコ とイッタラの国。どこ行っても、その辺に普通にアアルトデザインとマリメッコとイッタラがあり、そういうオシャレなこと、なにも知らないボクは非常に申し訳ない気がする。郊外にあるトラック野郎御用達のドライブインに入ったら、マリメッコのクロスが適当に敷いてあって、とてもかわいかった。  ・来るお客はだいたい顔見知り、みたいなそのドライブインで、マッシュルームスープとカツレツを喰ったが、かなりうまかった。この間、Sunnto本社の社員食堂で食べた、下写真のビーツスープもすごくうまかった。甘くなく、コショウテイストだった。このように、スー

白夜の街からこんにちわ

ミネアポリス土産

いまはヘルシンキ@フィンランドにいるのですが、ミネアポリスのお土産です。自転車カフェで見つけて盗み撮り。日本では Trail Store でお見かけできるとの未確認情報も。参考までに、トレーニングでムキムキなのは、我らがBMXer、ティンカー・ウォーレス。

2009 Salsa El Kaboing (26 inch)

 自転車に乗るのは、本当に楽しい。ボクの自転車に対するスタンスは『何に乗るか』ではなく『どこをどう乗るか』ということでしかないので、どんな自転車に乗っていようが、乗れりゃあ実はそれだけで楽しい。でもまあ乗るなら、自分の乗り方とリズムにばっちり合ったやつがいい。中でも長年連れ添ったやつに乗るのが一番自由で気持ちよくなれるのは、セックスとなんら変わるところはない。  がしかし、自分のできることを増やしてくれる自転車に乗れるのは、楽しいを超えてうれしい。今回、サルサの新車試乗会(with キャンプだホイ )で、久々にうれしくなれるマウンテンバイクに乗った。もしかしたら走ったトレールがすごく楽しかったから、うれしくなったのかもしれないが、先輩(元プロBMXレーサー)も乗ったあとの開口一番に「楽しいね、このバイク」と言っていたから、本当にそうなんじゃないかと思う。 《 Salsa_El Kaboing 》だ。日本語表記だと「エル・カボイング」てなるんだと思う。boing、ボイング、というのは日本語だと『ビヨーン』みたいなことになる。10年以上前に、サルサが出したリアサスモデルに付けられていた名前を、また付けたというストーリーを持つネーミングである。意味的に言うと『ザ・ビヨヨーン』てなもんか。  技術的に言うと、素材はスカンジウム。5インチ(130mmぐらい)動くリアサスはリンクに見えるが、機構的にはシングルピボット。スペシャライズド社はいい加減、例の『ホルストリンク』特許をオープンにしてくれないもんかと切に願う。スイングアームの動きを、サスユニットと薄いシートステーのしなりを組み合わせてコントロールしたものだ。動き的に言うと、まあリアサスならではのペダリング感だが、とくに悪くもない。  一方、とくに良いのは、このエル・ビヨヨーンが、名前通りビヨヨーンと飛ばせてくれるマウンテンバイクであるところ。  15年ぐらい前、ボクが当時存在したMTB専門誌の手伝いみたいなバイトをしてたころ、トレックが初のリアサスモデルをリリースした。名前は忘れたが、このトレックは、振動吸収とかなんとかいうより、よくできたバネであった。  当時いくつかのブランドがリアサスモデルを造っていた。『リアサス一気乗り』みたいな企画の手伝いだったと思うのだが、これら全部に乗れる機会があった。当時のボクは自転車でジャ

2009 Salsa - Big Mama (29 inch)

 最近のサルサは29インチホイールのマウンテンバイク、いわゆる29er(トゥー・ナイナー、あるいはトゥエンティ・ナイナー)の雄として知られている。アメリカでは24時間耐久レースや、100マイルレースといった長距離エンデュランス系のイベントでよく使われ、愛されているそうだ。  もともとサルサは、ワカッた人に人気が高いというイメージのある、わりとコアなブランドである。サルサを創った男、ロス・シェーファーがそういう人だったから、というのがその理由の1つ。彼は現在はプロダクト・デザイナー、というより実際にモノを造っちゃう人として生きているようで、この間なんか、クルマのショーのため、3日でエンジンを0から造り上げたそうである。  では今、サルサを造り、売っている連中はどないだ。そこまでコアなのかどうかは知らないが、かなり走れる連中である。ボクもマウンテンバイクには、人並み以上程度には上手に乗れると自負しているのだが、そんなボクと開発陣&マーケティング陣とが、大笑いしながらトレールで一緒に遊んだ。そういえば、サルサにラインアップされてるバイクのコンセプト、素材やパーツ選びなどを読み込んでいくと、その走れる感じが反映されているのがわかる。毎年ちょこちょことモデルチェンジをしないのも(そもそも毎年変えるのが変だ)そういった理由なのだろう。なかなかに頼もしい。  さてそんな連中が造った、サルサの心髄とも言える29erの最新フルサスモデル《 Salsa_Big Mama 》。見た目もリアサスの機構も26er《El Kaboing》と同じではあるのだが、方向性とか乗り味とかは、全く異なるマウンテンバイクである。ホイールサイズの違いを差し置いてもだ。唯一似ているのは、こいつもやっぱり、名が体を表しているところ。結論から言うと、このビッグママは、まさにビッグなママ的な乗り味なのだ。  初めてまたがったときの第一印象がおもしろかった。あれ? これホイール26インチ? と思ってしまったのだ。それぐらい26erから乗り換えても違和感のないハンドリングだが、実際に走ってみると、そこはやっぱり29er。26erのつもりで乗ると、前輪が上がりにくかったり、コーナーでの挙動が1テンポ遅かったりする。    しかしそのゆったりとした挙動のタイミングに、いったんリズムが合うと、こいつは突如として安心感の固まり