ディスクブレーキが本当にいい理由とは、自転車から、ホイール径という呪縛を取り去ってくれたことである。
すでに述べているように、自転車の走行感というのは、その8割がホイールの直径とタイヤの太さで決まる。
地球上で最も転がりが良いとされ、地上最速の自転車であるロードバイクにも採用されている700cサイズのホイールは、やはりどんなフレームに付けても、それなりの転がりの良さを提供する。
一方、悪路を走るために開発された26インチ X 2.0ぐらいのタイヤは、岩場を走ってもパンクしにくく、コントロール性も上がる。しかし、その分舗装路での走行感やスピードは、700c直径のホイールには、どうあがいてもかなわない。
この辺は、自転車物理学者の方がきちんと述べてくれればいいのだが、どうにも『軽い』とか『重い』とか、そういう20世紀の考え方から抜け出せないままでいる。ゲイリー・フィッシャー氏が、29インチという1つの考え方を提示しているにもかかわらず、やっぱり自転車世間は重いとか軽いとか、そういうどうでもいい部分ばかりをほじくっている。
もうXXかと。XXかと。お前は本当に自転車で遊びたいのかと問いたい。問いつめたい。小一時間問いつめたい。吉野家はたまに喰うとウマい。
ディスクブレーキなら、24インチだろうが、700cだろうが、650Bだろうが、もう何でも付けられる。さらに、元となるフレーム+フォークがフルサスであれば、重心ポイントは、どのホイールであろうと、理想的な位置に納まる(前後サスバランスがしっかり取れていれば)。
ただ、優秀サスメーカーのFOXは、FOX issues DIY warning 26インチ以外のホイールは、絶対に付けないでくれ、死ぬこともあります、と警告を発していることも、ゆめゆめお忘れなきよう。
24インチの減ジャイロ効果、700c+フルサスの『アーバン・モトクロス』性など、述べたいことはもう山ほどあるが、今の自転車業界の考えでは、理解できるまでに少なくとも5年はかかりそうだ。自転車での遊び方を何も知らない(あるいは恣意的に隠している)人の言うことを、世間が鵜呑みにしている限り、自転車はずっと、ツールドフランス・コスプレか、若ぶりたい大人のファッション道具としての地位を脱出することはできない。
ディスクブレーキは、明らかに、世界を変えた。それに気がついていないのは、変えられた世界の方である。