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ラブソング

 週末をはさんでも、妄想は続いている。大人になったら、どんな音楽をしたいのかというのを考えていたが、やっぱり、どうしても、ラブソングがやりたい。

 ラブソングは、すてきである。その歌にのる歌詞の内容、シラフで聞けば、犯罪なのに、歌い上げれば、それは言霊となる。
 例えば、今一番やりたいラブソングのお手本である、マーヴィン・ゲイ『I Want You』。

 I want you, I want you, I want you.
 But I want you to want me too.
 Just like I want you.

 あなたが欲しい、あなたが欲しい、あなたが欲しい
 でも、あなたにもぼくを欲しがって欲しい
 ぼくがあなたを欲しがるように。

 まるで、70年代沢田研二のヒット曲『ダーリン』の歌詞のようだが、あれは先日お隠れになった阿久悠さんが、これから『インスピレーションを受けた』に違いないとにらんでいる。

 最近この手のメジャーな曲は、You Tubeを探せばだいたい聞けるので、聞いてみたらどうかと思うが、これは歌というより叫びだ。こういう心の底からのストレートな想いが、歌という隠れ蓑を使えば、現実の言霊(=振動)として、人々に届くわけだ。文章という音の流れを作る仕事の人というスタンスでいえば、こんなにうらやましいことはない。

 もう1つ、言葉の世界観という意味で、ものすごく好きなラブソングがある。ピチカート・ファイブの『あなたのいない世界で』である。

歌詞抜粋

あなたの いない世界で 私は
週末の朝 ひとり手紙を書いた
ブルーの インクで小さな文字で
季節の移ろいを あなたに伝えたくて
書き終えて 私は少し泣いた
そのあとで 引き出しに鍵をかけた
あなたの いない この世界で


 その昔、「ピチカートとパブリックエナミーが好きらしいけど、2つの共通点って何?」と知人に聞かれたことがあり、迷わず「歌詞です」って答えた。うちのカアちゃんは、音楽性とは顔であると豪語してはばからないのだが、ボクの場合、音楽性とは歌詞である。

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