ボクは20代中盤から30代前半にかけて、『ターザン』という雑誌での執筆をメインにした仕事をしていた。というより、この雑誌に関わる人々にかわいがってもらい喰わしてもらっていたというのが正しいのだが(本当にありがとうございました)、この時代に、ものすごくいろいろカラダについての知識を吸収した。
脂肪の落とし方、筋肉の増やし方、みたいな『カラダ改造計画』感の強いものも多かったが、そんななかで、いまのボクのライド(ジャンプ)の基礎となっているのが、「カラダをいかに使えばいいのか」という知識である。
とあるとき、ターザン編集部の年末大掃除に、数ある資料本を整理していたら、この本が捨てられそうになっているのを見つけた。
『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』
当時は、自分がこんなに楽器を弾くのが好きになるなんて思ってもいなかったから、決してタイトルに惹かれたわけではない。が、ふと目に留まって、特に何の気なしもなく、ぱらぱらとめくっていたら、『腕は、肩から始まっているのではない。胸=首の付け根から始まっている』というような記述を見つけ、いきなり釘付けになった。
それまで自分が考えていたカラダの動かし方が、全く理に反したものであったのに気づいたからだ。あわててゴミばこ行きの箱から取り出し、カバンに隠した。それ以来、ボクの乗り方は変わった。というより、ボクの腕は長くなり、脚は長くなった。いや違うな、長く使うようになったと言う方が正しいか。目指すは、イチローさんである。
てこの原理を例に出すまでもなく、力点と作用点は離れていた方が、力は増幅される。力の源である胴体が作った力は、腕、脚という増幅器をスムーズに流れることで、より増幅されて、ハンドル、ペダルに伝わり、タイヤを通して地面へと伝わっていく。この増幅器をきちんと使いこなせなければ、地面に伝わる結果としての力の量は増えない。それを、スノーボード関連の雑誌に書いてみたのが下の記事だ。
http://snowboardnet.jp/supeRb/ver4-3/50-51.html#
ボクがこの『音楽家なら〜』と出会ったのは7年ほど前。ダートジャンプを始めた31才ぐらいのころだ。この考え方を知り、それを実際のジャンプ練習に当てはめてみたその7年後の結果が、今のボクのジャンプである。自慢だが、塚ちゃん、裕太といったプロ連中も、嘘とはいえ、褒めてくれるほどのジャンパーとなった。
さらに、このジャンプで培ったカラダの動き、脚の使い方をロードバイクに当てはめてみたら、驚くほど坂が上れるようになった。今のボクは、自転車で上るのが好きなのだが、それもこの考え方とダートジャンプのおかげだ。
このような、おそらく正しい知識を基に、自転車の乗り方をずっと伝え続けてきているつもりだが、どうも世の中は、実在することではなく、口当たりのいいことばかりを信じる傾向にある。大切なのはデザインではなく、スケルトン(設計)。大切なのは何を使うかではなく、どう使うかである。
この本は、あまり知られていないが、このご時世にも絶版にもならず、いまも販売されているようなので、やっぱりかなり重要な知識なのだろう。『音楽家』というタイトルに惑わされてはいけない。
あとこの本にも、ダートジャンプに役立つことが書いてある。自転車の乗り方なんて、本質は同じだ。本当に自転車が好きで、その中でわかったことを伝えたい、というのがありありと伝わるので、小気味よい。
『ロードバイクの科学』 ふじいのりあき著
いまや半分冗談半分本気で、
死ぬ前に音楽家にもなりたいボクに言わせりゃ
「楽器も自転車も、やってることは同じです。
エライ人には、それがわからんのです」
脂肪の落とし方、筋肉の増やし方、みたいな『カラダ改造計画』感の強いものも多かったが、そんななかで、いまのボクのライド(ジャンプ)の基礎となっているのが、「カラダをいかに使えばいいのか」という知識である。
とあるとき、ターザン編集部の年末大掃除に、数ある資料本を整理していたら、この本が捨てられそうになっているのを見つけた。
『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』
当時は、自分がこんなに楽器を弾くのが好きになるなんて思ってもいなかったから、決してタイトルに惹かれたわけではない。が、ふと目に留まって、特に何の気なしもなく、ぱらぱらとめくっていたら、『腕は、肩から始まっているのではない。胸=首の付け根から始まっている』というような記述を見つけ、いきなり釘付けになった。
それまで自分が考えていたカラダの動かし方が、全く理に反したものであったのに気づいたからだ。あわててゴミばこ行きの箱から取り出し、カバンに隠した。それ以来、ボクの乗り方は変わった。というより、ボクの腕は長くなり、脚は長くなった。いや違うな、長く使うようになったと言う方が正しいか。目指すは、イチローさんである。
てこの原理を例に出すまでもなく、力点と作用点は離れていた方が、力は増幅される。力の源である胴体が作った力は、腕、脚という増幅器をスムーズに流れることで、より増幅されて、ハンドル、ペダルに伝わり、タイヤを通して地面へと伝わっていく。この増幅器をきちんと使いこなせなければ、地面に伝わる結果としての力の量は増えない。それを、スノーボード関連の雑誌に書いてみたのが下の記事だ。
http://snowboardnet.jp/supeRb/ver4-3/50-51.html#
ボクがこの『音楽家なら〜』と出会ったのは7年ほど前。ダートジャンプを始めた31才ぐらいのころだ。この考え方を知り、それを実際のジャンプ練習に当てはめてみたその7年後の結果が、今のボクのジャンプである。自慢だが、塚ちゃん、裕太といったプロ連中も、嘘とはいえ、褒めてくれるほどのジャンパーとなった。
さらに、このジャンプで培ったカラダの動き、脚の使い方をロードバイクに当てはめてみたら、驚くほど坂が上れるようになった。今のボクは、自転車で上るのが好きなのだが、それもこの考え方とダートジャンプのおかげだ。
このような、おそらく正しい知識を基に、自転車の乗り方をずっと伝え続けてきているつもりだが、どうも世の中は、実在することではなく、口当たりのいいことばかりを信じる傾向にある。大切なのはデザインではなく、スケルトン(設計)。大切なのは何を使うかではなく、どう使うかである。
この本は、あまり知られていないが、このご時世にも絶版にもならず、いまも販売されているようなので、やっぱりかなり重要な知識なのだろう。『音楽家』というタイトルに惑わされてはいけない。
あとこの本にも、ダートジャンプに役立つことが書いてある。自転車の乗り方なんて、本質は同じだ。本当に自転車が好きで、その中でわかったことを伝えたい、というのがありありと伝わるので、小気味よい。
『ロードバイクの科学』 ふじいのりあき著
いまや半分冗談半分本気で、
死ぬ前に音楽家にもなりたいボクに言わせりゃ
「楽器も自転車も、やってることは同じです。
エライ人には、それがわからんのです」