2008-10-28

日本のA-line

 A-lineと言えばウィスラーのフロウィイ(浮浪良い)ダウンヒル・ジャンプ連合ラインだ。ウィスラーまで行かないと、この気持ちいいA-lineジャンプは味わえないものと思っており、はるばる行ってきたもんだが、なんだ、日本にもA-line、あるじゃないか。


 富士見パノラマスキー場内、『ダートジャンプコース』の『テーブルライン』である。
Via 栗瀬裕太くんのブログ 


 日本の一大事、階段下りを見るためにでかけたとお伝えした富士見パノラマ・マウンテンバイク場だったが、その実、出かけた本当の理由とは、日本の誇るダートジャンパー、栗瀬裕太が人生かけて作った『ダートジャンプコース』を走りたいがためだったのである。

 のだが当日、クロスカントリーでコースを様々使うから、という理由で、このダートジャンプコースはクローズしていた。無念の気持ちでコースを見つめ、一番安全そうな、この『テーブルライン』を脳内走りしてみたのだが。

 走れば走るほど、面ピタじゃないか。『面ピタ』とは、走りのスピード、ジャンプの角度、そしてバックサイドへの距離がぴったりと合っていること。まさに三位一体(サンミイッタイ)。下りの斜面で、その重力スピードに身を任せてそのままトビ面を蹴りだせば、うまい具合に、着地用バックサイドがゆるやかに出迎えてくれ、しかも次のジャンプへの加速装置となってくれるという寸法だ。たぶん。脳内でしか走ってないからわかんないけど。

 しかし、この日本式A-lineが、あまり話題になっていないというのには驚かされる。現代社会が、本当に良いものを伝えにくい構造になっているのは確かだが、俺たちはマウンテンバイカーだぜ? そういう仕組みに疑問を持ち、自分の体で試し、良いもの(怪我しにくいもの)を広めていくという自転車の乗り方をしているはずじゃなかったか? 

 なんてほざいたが、こちとらパンダソニックも、まだ乗ってないので、この『テーブルライン』が本当に三位一体ジャンプなのか、確証を持っているわけではない。しかもこのジャンプ、今年の11月3日、富士見パノラマ・マウンテンバイク場のクローズとともに、いったんぶちこわされてしまうのだ。もったいない。ウィスラーのコースビルダーが持っている、ジャンプ物理学の方程式と、感覚的に同じような計算式を、ウィスラーまで行かなくても体に叩き込めるだろう、この日本のA-line。来年も同じ形で作られる保証はないため、とにかく、今あるこれを乗っておかないと、もったいない。しかもA-lineだけなら500円で走れるそうだ。お得じゃないか。

 もったいないので、壊される前に乗りにいくことにした。富士見テーブルライン浮浪トリップ、場合によっては4泊5日。また、トリッピーな旅の虫が騒ぎだした。

2008-10-26

関戸橋自転車フリーマーケット


 東京都近郊、関戸橋で毎年2回行われている自転車フリーマーケットに行ってみた。

 このフリーマーケット、昨今のおしゃれ自転車ブームのおかげで、世間の注目を集めている。我々自転車乗りは、いろんな理由をつけては、いろんなパーツをとっかえひっかえするカルマを背負っているため、さらなるとっかえひっかえの理由(それはそれは合理的な経済面の理由)が見つからないものかと、そんな期待を胸に、いそいそと出かける。


 もちろん、おなじみの輪行である。今回はちょっと趣向を変え、リアホイールを付けたまま輪行袋にいれ、縦置きにしてみた。後輪が袋内で固定されるので、どこかに立てかけておけば安定する。この方が横置きよりも、Mr.パンダソニックがちょうど目の高さあたりに来て、目立ちはするものの、世間の無理解を避けられるのがわかった。

 15年ほど前の山手線のなか、一生懸命(=テキトーに)バイトして貯めた30万円で買った<ペゼンティ>のマウンテンバイクが入った輪行袋をわざと蹴飛ばすサラリーマンと、つい大げんか(しかも最後は英語で罵った)したことがあった。しかし、今や齢アラウンド40なので、もうそういうのはカンベンである。輪行は平和にしようぜピース。正しいことを正しいと主張し戦うのは、仕事のときと、愛するなにかを守るときだけにしようと決めたのだ。そういった意味では、このけんかも間違ってなかったと言えばないのだが、頭を使って、なるだけ避けていたいものである。


 で、関戸橋についた。結果から言うと、あまり居心地がよくない。というのも、もともとこのフリーマーケット、世界自転車マーケットから見捨てられた旅自転車『ランドナー』を心から愛する人々が、「もう手に入らないパーツ群を、仲間うちで交換し合おうよ」というところから始まっている。その同好の志の中に、なんだか「流行り」や「安く買える」的な邪念を持って入り込んでいるような気になってきたのである。

『自転車とは、自由になるための翼でしかない』と考える、自転車そのものやパーツに対するフェティズムのない生涯ライダー・バカ人間パンダソニックは、自転車には、自分と自由とをつなぐインターフェースとしての機能しか求めていない。かといって新しい機能こそいいというわけでもなく、例えば壊れたら取り替えるしかない最新パーツよりも、ペンチ1本、力ずくで直せるオールドパーツの方が、旅の途中では自由にいられる、という視点である。


 話はそれた。このフリーマーケット、午前10時頃に到着したという時点で失敗だった。本来なら午前7時には会場入りし、開店直後、あるいはモノを並べている時点から駆け足で駆け巡り、鋭い目で欲しいものを見つけ、迷わず買う、というのが、しかるべき参加方法なのだそう。2、3年前までは昼にもなると、すっかりみんな帰り支度をしていたものらしいが、近年、ボクのような素人むけに、ゆっくり商品を販売しているところも増えているようだ。

 そんな素人視点で、ちょっと面白かったものを紹介。



 オールド・カンパニョーロがたくさん売っていた。たくさん売ってたってことは、あまり買う人がいなかったってことでもあるのか。昔、カンパのベアリングは、とにかく回りが鋭くて、なんて話を聞いたし実際に見てもいるのだが、まあそれはそれ、カンパ・ブランド力未だ健在ってことだろう。そのへんはマニア筋が怖いので、よくわかんない素人は話も早々に。ただ手前のリアハブは、見た目かっこいい。


なんだっけ、このディレーラー。昔見たことあるような。今作っても、かわいいので売れるかも。



初代デュラエース。価格149,000円。金色のスプロケットがファンキーだ。この時代から、デュラはすでに7段変速である。


手作り、トウ・クリップ用皮カバー。


作っていたのは、漕ぐマガジンに執筆してる人。次号ぐらいから、日本語の簡潔な訳も載せていく予定だそう。


旧友、荒井さんは、いま絹自転車製作所ことシルクサイクルズのビルダー。


ちょっとおもしろい裏話がある、荒井さんの作った折りたたみ700Cモデル。この話、どっかで書かせてくれないかなあ。


HBさん。念のため説明しとくと、1990年に世界初のダウンヒルチャンピオンになった、オモシロ兄さんグレッグ・ヘルボルトさん(通称HB)そのまんまの衣装をきたお兄さん。シブいのは、シマノ初のSPDシューズをきちんと履いているところ。じゃあ1990年当時のマウンテンバイク界は、こういうのがかっこ良かったのかというと以下略。


先日、フィンランドのショップで『旧東ドイツの自転車倉庫から拾ってきた新品ジャージだ』と言われて買ったジャージを着るパンダソニック(左)と、どこかのフリーマーケットで買ったジャージを着たお友達(右)。もうなくなってしまった国のジャージが、こんな遠くの東洋の小さな国で再会するなんて。と感動したので記念写真。我々人生の旅人ならではの、ちょっと心温まる出来事。

2008-10-19

正しい自転車道路in東京

おお! ちょっとボケボケしてるうちに、
東京にもできてるじゃないか! 自転車道路!



これこれ、これでいいんだよ。これが自転車道路のあるべき姿。
車道の脇に、一本線を引いて、色分けするだけでオーケイなんだ。
東京都渋谷区笹塚あたり、通称水道道路? だっけ? がこうなってた。
作るのに、大規模な工事をする必要ないから、建設業界潤わなくて、
政府はやりたがらないかもしれないけど。



まあ、すぐにこうなっちゃうがね。
店に駐車場のないのに、無理してクルマ使うからしかたない。



ただ、交差点で自転車が通るべき場所は、左端ではないことを
理解できるまでには、あと何年かかるかな。
日本は、これが世界標準だってことを知らないから。

知らないってことは、
ただ、まだ、知らないってだけのことで、
別に恥ずかしいことじゃないから、
恥ずかしがったり、怒ったりする必要は、ないんだぜ。

ちなみにこの写真は、バンクーバー(クルマは右側通行)
で撮った写真を反転してます。

2008-10-12

フルサス・リアカー・700C



 引っ越した。とは言っても寝床を移しただけの、いわば寝袋とマットとクッキングストーブの場所替えであるので、ベースであるみんなのパーティスペースZoo(ツォー)は相変わらずここにある。ご心配なく。

 その際に、こいつが少しだけ役立った。フルサス700C+自転車リアカーである。なにせ夢ばかりが大きいので、自転車リアカーも、おなじみ<Burleyバーレー>のいちばん大きな荷物が運べて、いちばん軽いモデルを手に入れた。海外で入手、残念ながら日本未入荷だ。



 しかしこの試み、日本のクルマ事情の中では走りにくかったのは確かだ。これからもう一度運ぶべき荷物があるのだが、少々おっくうである。クロネコヤマトの宅配便が使う、“旧”を見てみたい『新スリーター』に乗る人々の気苦労が、少しわかった。

 見た目はこんなだが、こう見えてもシングルスピードなので、実質上は『スポーツ系実用車』という全く新しいジャンルの自転車である。電動モーターの替わりに、踏み味も重量も軽く、フルサス+ホイール700C+タイヤ30Cの巡航性能(スピードが落ちにくい性質)を活かした、ヒューマン頼りの荷物運び車だ。

 本体のベースとなっているのは、完成車価格10万円を切るフルサス車《ジャイアント・ユーコンFX》。ここから余計なものを取り去り、好きなパーツに入れ替えて、超廉価版完全街乗りクルーザーを作る、という実験である。

 昨今の安いリアサスフレームは、重量も軽い。しかしリアサスの乗り味は、上位自慢のテクノロジー『マエストロ』とは、安い分だけかなり違う乗り味である。ただ二昔前の高級リアサスは、こんな乗り味だったように思う。乗ったことないが、前時代の高級モトクロッサーに乗っているような気分である。最新技術は、そのうち廉価モデルに降臨する。歳もくってみるものだ。

 白黒ボディは、Mr.パンダソニックにぴったりの相性。クルマを白黒に塗り分けるのは法律違反らしいが、自転車だったら問題ない。気分はまるでポリスマン。マウンテンバイク創成にあまり関係のない変なものを持ってるやつは、片っ端から逮捕するので気をつけろ。ただそのへんの先進国と同じように、そいつを没収したら、無罪放免で別にかまわない。

2008-10-09

早すぎた24インチ

 自転車浮浪者としてフロウしていると、楽しい自転車に巡り会うことがある。いわゆる自転車ナンパだ。

 先日、カナダ・ビューティフル・ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー郊外都市のサレー市でぼんやりしていたときに見つけたマシン。グッと来た。



 こいつだ。ホイール系24インチのマウンテンバイク。その昔、日本のレジェンドマウンテンバイクライダー大竹雅一さんが24インチマウンテンバイクを作り、うるさ方のBMXライダーにも好評だったのだが、こいつはあるいは、それ以前に作られたものか。まさに早すぎた逸品。己を見ているようで涙が流れる。



 ブランド名は『バガボンド』。早い。そして、シブい。ちなみに『バガボンド』という言葉の意味は。。。。である。今となっては(法的に)恐れ多くてブランド名にできない言葉だ。決してボクのことではない。


 しかもモデル名は『マウンテンクロス』! 早い、早すぎる。その昔、ボクも似たような名前の早すぎたマウンテンバイク・クロスのイベントをプロデュースしたことがあるが、昔話だ。笑い話ですらない。思い出したくないので、覚えている年増の方は、早く忘れて欲しい。


 さらに早くすばらしいことに変速系は、これからの未来であるフロントシングルギア+アウターにはチェーンガード、そしてリアは6段変速。その後、マーケティングという名目の元、変速ギア数は増えていったのだが、これぐらいが、チェーン落ちを減らし、トラブルを避け、そして山走りを存分に楽しむために必要最低限な変速の形。マウンテンバイクのギアなんて、これでいいのだ。これが、いいのだ。まわりのホントに山を走っている連中に聞いてごらん?



 こういう形のハンドルを、『ブルムース・バー』と呼んだ。これは今時のステム+ハンドル方式のほうが、軽くて楽しいかもしれない。



 これは『サムシフター』。サム(親指)でシフト(変速)するから、サムシフター。マウンテンバイクの変速レバーは、どうあがいてもいつだってシマノの最新のやつが最高(ブレーキレバーでの変速のみだったSTIシフター暗黒期は除く)なので、そいつは最新テクノロジーの恩恵にあずかりたいものだ。


 しかし、このマシンが早すぎた最大の理由は、


 カーボン素材を使っていたからである。

 いまでこそカーボンの春が来ているものの、当時はハイクオリティ・カーボン・チュービングの価値なんて、誰にもわからなかった。ボクなんて、今だにわからない。

2008-10-08

オレのマックがかっこいい

  オレの  マックが  かっこいい〜!
(ちゃらら、ちゃちゃらら、ちゃららららー)
  とつぜん 画面が こうなって〜


 マック 使って 15年〜
 こんな 画面は みたことね〜

 オレの マックが かっこいい〜!
 さらに サイケに かっこいい〜!



 ついに こんなに かっこいい〜!



 再起動したら、普通になった。しなきゃよかった。
 かっこいいマックとして生きていけたはずなのに、
 本当に悪いことをした。

2008-10-06

ダウンヒルレース見学日記

 マウンテンバイクのダウンヒルレースを、ひさびさに見学した。
 レーサーたちがそこらで気軽に『応援に来てください』みたいなことを言っているので、こっちも気軽な気持ちで応援しに行ってみることにした。

 会場は、長野県富士見パノラマスキー場。日本でのマウンテンバイク・ダウンヒルのメッカと言われているここには、ほとんどの人がクルマで行く。しかし、都心+自転車(+ベロ酔いしたらタクシー)という実験生活を試みているボクにはクルマがない。そのため移動は自転車ワープ、バイク・パッキングこと輪行となる。


 起床は午前4時30分。全然気軽じゃないが、渋滞という人災を計算に入れなくていいから、楽っちゃ楽である。東京都新宿駅、午前6時00分発の中央線に乗って、カッコいい鈍行電車に2回乗りかえれば、乗車運賃3250円で、中央本線・富士見駅に午前9時51分、到着。



Mr.パンダソニックは、どこにでも行く。

 しかも土日の午前10時には、富士見パノラマスキー場までの無料送迎バスがお出迎えしてくれるため、ぼんやりしながらでも、午前10時半にはスキー場ゴンドラチケット購入窓口にたどり着くことができる。知ってた?


富士見駅前名物、巨大パンダコックさんがMr.パンダソニックをお出迎え。

 今回のレースとは、これまでとはちょっと違った試みがあった。通常、富士見パノラマのレースコースはゲレンデ内がゴールなのだが、この一戦では、その下にある駐車場がゴール。つまりゲレンデを走り終わったところから、さらに階段を下る、という例を見ないコース設定になっていたのだ。お気に入りの靴を汚さず観戦できるのは、日本ダウンヒル界の一大事。Mr.パンダソニックが、これを見ずして何を見るんじゃい、と言い放ち、輪行袋から顔出しての遠征とあいなったわけだ。


 レース自体は、名実共に日本を代表するダウンヒルレーサーとなった内島亮が優勝。ゼッケンは2だけれども、総合力で言えば日本一。マウンテンバイクショップを経営して、ショップ敷地内にはパークを作って、しかも自身は優勝争いでシーンを盛り上げているという、すべてを同時進行で行っている彼の底力には、ただただ感銘。日本のマウンテンバイク界は、もっと彼を大切にして、いろいろ見習うといいんじゃないかな。


 このレースには、立役者がもう一人いる。竹本将司だ。レーサーであり、ライダーであり、プロデューサーであり、そして日本の最高峰ダウンヒルレースである『Jシリーズ』内の、この一戦をオーガナイズした男である。
 階段をレースコースに組み入れるという企画も、彼の苦労が実ったもの。コース設定も、レーサー視点でのアイディアを取り入れ、上手いライダーとそうでないライダーとの差が出やすいようにしたそうだ。しかも、さっきまでインカムを耳に、そこらで厳しく目を配っていたくせに、自分もレーサーとしてきちんとレースを走ってた。現役レーサーが、自分たちの走るダウンヒルレースをオーガナイズしたというのは、少なくとも日本のマウンテンバイクシーンでは初めてのことである。

 しかし、このゲレンデ下部の芝生高速セクションが、実は走るといちばん気持ちよさそうなところだった。こういうオールドスクールなスタイルも、いまだからこそ、かなり悪くないんじゃない?


 あと、ダウンヒルのコースは、そのほとんどが山の中。なのでボクのように、普通にレースを見に来ている普通の観客が見られるのは、ほんの一部だけ。そういうボクらのためにレースレポートという、レーサーそれぞれのドラマを基に、自分なりのストーリーを組み上げて、妄想力で盛り上がれる材料があるんだけれど、最近は、それを目にする機会もなかなか少ない。

 そうなると、選手の走り自体を見て、すげーすげー騒ぐのが手っ取り早い。できれば、上から下までの選手の走りが見てみたい。せっかく映像機材も技術もお手頃になってきたので、そこを充実させてもらえるとありがたい。
 別にライブじゃなくていいから、事後にネットで見られるだけでもいいから、トップ3の走りをスタートからゴールまで、映像で見てみたい。その走りが頭ん中にあれば、それを一瞬でも生で見たときの、妄想のうねり上がりはすごいことになると思う。で、映像での満足に加えて、目には映らないドラマを、文章と写真で心に深く刻む副読本があればもっといい。そうすればダウンヒルレースは、レーサーたちの名誉のために行われる『レースという名の走行会』から脱出できるんじゃないかとも思った。www.freecaster.tvの真似でいいんだよね。できない?


 会場で見た、20インチダウンヒルバイク。乗せてもらった。乗り味はナイショ。どうしても20インチのダウンヒルバイクに乗ってみたくて、自分で企画して、ショップ『ジラフ』に相談して、作っちゃったんだって。マウンテンバイカーが欲しいものは、なにもかもこの世にはない。

2008-10-03

『トラベル』の語源

ウィスラーで出会った心の同志が彼。
ゴリゴリだ。

チェーンが切れればチェーンのないまま乗り続け、10カ所以上パッチを張らずにはタイヤチューブを変えられず、フレームは折れるまで乗り、飛行機移動の人々が捨てたパーツを最新パーツとしてなくなるまで使い、しかもアイスクリームにはチョコフレーバーを選ばないという、曰く「違いのわからない男」である。

(手前のアイスはパンダソニックのもの。ブルーベリー&マッドチョコという、チョコマニアならではのカップリングである)

「乗れりゃあ、いっしょでしょ」というゴリゴリの達観には、いまだに前世紀のコンピュータとOSを使って日々の事務作業からパーツ制作業までこなすダウンヒルの天才ヤナギと同じ匂いがする。小麦粉一つで何でも作りたい、というパンダソニック思想でもある。つまり乗り手がいかに進化していけるのかという人生の遊び方。知りすぎたが故に手段こそ目的だと見間違っている感のある主流から外れた、ターンオン、チューンイン、ドロップアウトなやり方だ。使うのはLSDではなくマウンテンバイクの下りだが、LSDトリップの幻視なんかより、日本の紅葉マウンテンバイキングのほうがよっぽどサイケデリックだ。ビートルズもマウンテンバイクに乗ればよかったのに。


(ウェブに上げると色が沈むな。本物の山はもっとサイケで頭が痛くなるぐらいの色である。写真:今泉紀夫)

 ゴリゴリは現在、アメリカの自転車旅を敢行している。自転車に乗って行く、のが目的ではなく、自転車と一緒に行く、のが目的というこれまたパンダソニック思想の旅である。ざっくりと聞いた予定では、ラスベガスから始まり、モアブ、コロラド、ニューヨーク近郊という、マウンテンバイクの聖地系トレールを巡る、マウンテンバイク・ファンキー・トラベルである。お巡りが一目見たら止めたくなるような、そして止められなくても勝手に止まってしまうクルマを脚とするため、さまざまなトラブルに巡り会うことだろう。

 しかし『トラベル』の語源とは、その辺で適当にネット検索して出てくる全く知らない人のブログに誇らしげに書かれているように『トラブル』である。現在休刊中の『jtj』こと『自転車トラベルジャーナル』も、本当は『自転車トラブルジャーナル』の略である。『jtj』という略字をじっと見ていると、泣いてる人の顔に見えてくるのも、そのためだ。


 同志ゴリゴリが、よきトラブルに見舞われ、さらに達観することを、こころから期待している。ボクができないトラベルをするゴリゴリのトラブルを、いつの日か『自転車トラベルジャーナル』の1シリーズとして、まとめあげてやろうと、本人不在で、もくろんでいる。トラブルのないトラベルなんて、トラベルのない人生と同じである。昔どこかに書いたセリフだが、旅のない人生なんて、人生のない旅と同じである。


ウィスラーにくるなら、ここ『Cow's』のアイスはマスト。特にチョコ好きにはたまらんアイスがたっぷりと。わかりにくい場所にあるのでお見逃しなきよう。

2008-10-02

クランカーズ

去年の年末、ゲイリー・フィッシャー氏とお話ししたときに、DVD『クランカーズ』について、聞いてみた。
「うん、いいフィルムみたいだよ。まだ見てないけど」って言ってたような気がする。



で、ボクもついに見た。

このフィルムでは、ゲイリーは超グッドなビジネスセンスを持ってる男として描かれている。本人はどう感じたのかなあ。マウンテンバイクの成り立ちがわかり、いろんな事実を知ることができるのでなかなかに面白いのだけど、その分、テーマがちと散漫になっちゃってるかも、ていう印象も受ける。


そうじゃない人もいた。


かっこいい。檀くんのバイクみたい。マウンテンバイカーは莫迦なので、欲しかったり、必要だったりするものが、いつもだいたいこの世に存在しない。だからいつも頭ひねって考えて作っちゃうわけだ。



こんな人でてた。


このフィルムには、当時の貴重な動画がふんだんに使われているのだが、この動画を撮った人が、例の『癒し系』スケートボードのフィルムのフッテージも撮ってたというのに驚いた(特典映像内に収録)。なんで例のスケートボードのフィルムが『癒し系』かというと、「あ、やっぱ自分よりも世間が遅れてて、あとからオッケーって認められることもあるんだ、がんばろう」って心が温まるから。