「結局さあ、浩一郎(仮名)さあ」
と山田さん(たぶん55才)が言う。
「オレはこんなして自転車のグッズ作ってたり
NPOで自転車通勤応援したりしてるけどさあ、
最終的になにがしたいかって言うと、
老人が自転車にちゃんと乗れる社会を作りたいわけよ」
わかります。
「オレもさあ、もう少しで老人になるんだよ。
そうなったときにさ、ジイちゃんバアちゃんが
歩けないっつって、ただウチの中にいるのって
よくないんだよ」
ボクもそう思います。
「病院で死ぬと金かかるからさ、ウチで死にたいんだよ。
政府だってこの間、ウチで死ねばお金かかりません、
っていう法律を通したじゃん。だからさ、
やっぱみんながウチで死にたいって
思い始めてるんじゃないかと思うんだよな」
そうですよね。
「ウチで死ぬためにはさ、死ぬまできちんと歩けて
動けて、自由でいるためにはさ、今のうちから
自転車でも何でもいいから、動き続けていないと
カラダがボケちゃうんだよ」
その通りですね。
「気持ちいいじゃん。老人がさ、自転車カッ飛ばしてさ、
病院なんかで縛り付けられずにさ、
死ぬまで自由でいれるのって」