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MTBインプレッション



 秩父サイクルトレインというイベント(写真は第一回目のだ)があり、参加した。西武鉄道が、池袋から本拠地西武秩父まで運行しているメインラインに、自転車をそのまま乗せてしまえるというものだ。まあこれは一日単位のイベントなのだが、それでも輪行という魔術を使えば、全然走れない都心をぶっ飛ばして、果てしないフィールドの広がる秩父の山に出れるわけだ。みんなそろそろ輪行の一度や二度ぐらい経験しておいた方がこれからいいと思う。

 さてそんな機会なのでいろんな自転車が集まってきた。なかでも気になる自転車2、3台には、お願いして乗せてもらう。それぞれの乗り味を覚えてるうちに、緊急インプレッションだ。



ジャイアント STP
 キング・ジャイアントが送り出すこのジャンプ/トライアル系のSTPは、価格安いくせに、ものすごく乗りやすい。
まずアルミなので軽い。反応素早い。つまりスピードやパワーが少なくても、クロモリよりたぶん5mmほど高くバニーホップさせてくれるわけだ。
 次にペダルの上に立ったとき、重心がものすごくいいところ、感覚として膝のちょっと下の辺り、にまとまる。くるくると回りやすく、重心を前後に動かせる幅も長くて、とても遊びやすかった。現状モデルでは、一番高いやつと真ん中のやつは多分フレーム同じだ。
 そういう重心遊びものとして、スリックタイヤを履かせて雨の駅前リノリウム床で180度つるつるターン、とかしたらすげえ楽しくて警備員に怒られると思う。写真のモデルは、持ち主がハンドル位置をすごくいいところに、いい角度で持ってきていて、また絶対乗らせて欲しい自転車だった。在り方(存在の仕方)としてとてもいい感じの自転車である。



サンタクルーズ・ジャッカル
 ルックスですらジャッカルのような、サンタクルーズのジャッカル。スタイルライダー、カート・ヴォレイスが乗る姿が印象的である。
 さてそのジャッカルは、乗り味すらジャッカルのようであった。ジャッカルのようにひらやかに舞い、速く鋭く獲物をスナイプするためのフレームだ。例えばバンクド・スラローム。例えば下りにあるバーム。路面をナイフのように切り裂きながら、その半力を使い左右にはねるように切り返してゆく。分厚いヘッド回りのおかげで、太いサスに任せてコーナーをフロントから差し込んでも、実に問題なく受け止めてくれる。
 西武秩父駅前のモニュメントのポールを使い、おかしな人と思われながらジムカーナしてみたが、これが全く鋭く車体は寝る。倒したところからペダルを踏むと、車体はねじれるように起きだしながら、するりと前に抜けてゆく。すばらしいフレームだ。そういう特殊なカッコいい自転車だ。ただダートジャンプだけのために使うのはもったいない。バームを乗るべし。



モンキー 98SH "風来坊" 
 日本の山にターゲットをあわせたフレーム、とはよく言われる話。だがおそらく真実は、デザイナーがへそ曲がりでトラディショナルなダイアモンドフレームを造らないため、こんな形をしているのであろう。しかし中央付近、パイプの交わるあたりを回転の中心軸にして、そのイメージで急なつづらを下ると(わかりやすくすれば、スウィッチバックでのコーナリング、てことか。変な話だ)、面白いように車体は回る。その回転軸の目印になるというのは偶然なのか必然なのか、デザイナーのみが答えを(多分)知る事実である。
 しかしながら、この一文は、荷物キャリアのインプレである。トピークのMTXラックに、小さなパニアバッグを付けて山ん中コースを走ってみた。よく聞かれるのだが、このパニアバッグのブランドはもう無い。
 結果、6インチローターのディスクぐらいなら、多分問題ない。軽く飛んだりプチバームを攻めたり壁を低く走ったりしてみたが、たまにブリっとか言って擦るぐらいである。前のバッグもトピークだが、これも便利だ。どう便利かは使えばすぐわかるから、興味ある方はそんなに高くないので使ってみてほしい。
 すべて装着すると車体が重くはなるが、カラダにはいっさい重みが無いので、のぼりはかなり楽だ。しかし下りでは車体の重さが、遊びのポテンシャルを下げる。そのため移動時はキャリアに、下る時にはリュックに、という最先端の荷物運び技術を使えば、旅と下りの組み合わせで、相当にトリッピーな自転車ダウンヒル旅行ができるはずである。

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