2008-03-23

GORE-TEX


 傘がきらいだ。きらいなので、これぐらい雨が降らなければさしたくない。きゅうりみたいなもんだ。子どもの頃からずっとなんの疑問もなく食べていたのだが、30才を超えたあるときずっとまとわりついていた違和感に気がついた。

 その違和感に気がつくと、なんだかもう食べなくてもいいんじゃないかということにも気がついた。もしきゅうりを食べなかったら死んじゃうのであれば、さらにそれに気がつくまで食べないでいようと思い食べなさ続けて(使い方変だ)いたら、そのうちスイカとかメロンにも違和感があることに気がついた。調べてみたら、きゅうりもスイカもメロンも同じウリ科の緑であることがわかった。ウリがきらいなようである。

 ということで傘がきらいである。傘もまさかウリ科かとずいぶん悩んで時間を無駄にしたが、こっちはどうやら傘をさすと動きづらくなってしまうから、という理由のようだ。昔は雨が降るとなんの疑問もなく傘をさしてペダルを漕いでいたものだが、そのうち傘ささずにペダルを漕いだ方が100倍近く走りやすいと言うことに気がつき、自転車に乗っていないときでも、あまり傘をささなくなってしまった。

 雨にぬれるのは、そんなに悪いことでもない。確かに服がずぶぬれになるとそのあといろいろと面倒なことになるが、ずぶぬれがきらいかというとそんなでもなく、むしろずぶぬれになって雨の中で無敵になるのは好きである。

 水まみれになって(これも変だ)泥まみれになってグチャグチャになるのは子どもの頃から得意でよく周りに嫌がられた。ダウンヒルレースでも泥になればなるほど速くなって、ついには表彰台に上ってしまってもいる。陸上よりも水中の方が居心地がいい。海にかこまれた南の島に住んでいた頃は、陸の上では必ず負けたケンカも、水の中に持ち込めば雪辱を果たせたものだった。いまでも死ぬまで泳げと言われたら、たぶん寿命つきるまで泳ぎ続けていることだろう。だから雨もそんなにきらいじゃないのかもしれないが、ほんとのところはわからない。

 こころの奥底で傘がきらいだったせいか、アウターウェアは知らず知らず防水素材のものを選びがちだった。自転車というよりマウンテンバイクを教えてくれた師匠筋に、GORE-TEXという高級な雨具があることを教えてもらってから、自転車とヘルメットとグローブの次に買った自転車用具はGORE-TEXの雨具だった。師匠が経営してたお店でバイトして貯めた金で買って、買ったらバイトはバッくれた。あの時のことは今でも師匠、すいません。

 スノーボードを始めてからも、とにかくGORE-TEXが着たかった。当時もやっぱり金がなく、ひろいもんにもらいもんのウェアを着続けていたが、自分の金で初めて買った新品ウェアはGORE-TEXのヤツだった。こいつがまたよくできたもんで、もう8年近くになるのにいまだに毎日のように着続けている。ボクに会った人がよく見るあの例によって濃い緑のウェアは、そいつである。残念ながらスノーボードは膝のじん帯をゆわしてしまったことで終わってしまった。