フィンランドに来ると気づくのが、石、岩の多さである。そこら中に大きな岩がある。山だろうが街だろうが、岩肌が露出し、巨弾岩石が転がっている。
フィンランドは、氷河期をなくしては語れない国である。その数1万8千ともいわれる湖の多さは、すべて氷河期の氷が溶けて地面にしみ込み、それが湖となって露出しているのだ。実はアメリカ、ミネソタ州に湖が多いのも同じ理由で、そのために、ミネソタ州、ウィスコンシン州には、北欧人が多く移住している。奇しくもオレが先週までマウンテンバイクに乗っていた場所だ。湖に呼ばれてんのかオレ。
多くの岩があるのも、同じ理由だ。氷河が溶けて水となり、地表近くの土や砂は北に流されていった。残ったのは、重く、動くことない岩である。ということで、北欧には多くの岩を見かけることができる。今月出る『カーサ・ブルータス』の特集で、こういった岩の力について書いたので、余裕があったら購入して読んでみてほしい。
そして、ボクの翼であり相棒である《モンキー・98s_風来坊》についても、ちょっとお話ししておこう。クロモリ/ハンドメードのフレームは、乗り手を変えつつ、もう10年近く走り続けている。パーツは、どこにでも手に入り、壊れにくいものをモットーとしているため、結果として高級なもの、複雑なものは1つもない。パーツセレクト、組み上げは、モンキー/今泉紀夫氏によるもの。へたくそでわがままなライダー(パンダソニックだ)による海外輸送&ロングツーリングからダートジャンプまで、すなわち旅から跳びまで全てこなせるよう、パッと見では決してわからない細かく賢い改造、改良が、今泉氏の手により至る所に施されている。
今回、ここにくる直前に、無理矢理キャリアを付けてもらった。今日から、ここ初めての国フィンランドで、初めての自転車&テント行をするためである。おととい、フィンランド製アウトドアブランド、Haltiのソロテントを99ユーロで買った。寝袋、マット、ストーブ、そしてテント。これを翼である《風来坊》に積み込んだオレは、完全に自由となった。
帰りの飛行機は7月8日。残された期間は7日間。向かうは、湖に囲まれた町、サヴォンリンナ。今いるラハティから離れること250km。この湖畔に建つオラヴィ城に向かうのだ。
オラヴィ城は、ゲーム/ドラゴンクエストのお城のモチーフ、あるいはモデルであるとされている。湖のそば、もやに中にそびえるこの城の前で、持ってきたポケットサックス『ザフーン』で、ドラゴンクエストのテーマを、高らかに鳴らし上げるのだ。ドードファーソーラーシードファー、ミレレードシシレドーラー。これが、湖に呼ばれてしまったパンダソニックの天命であるに違いない。
では行ってくる。コンピュータは持っていかない。